志望理由
 現在私は情報セキュリティの研究室に所属し,電子透かしの研究をしている。セキュリティ技術(認証・電子署名・暗号化・著作権管理など)は様々な分野で必要不可欠とされているホットな存在である。また社会問題としてセキュリティにかかわる不具合がニュースになることも多々あり,やりがいのある研究分野といえる。この分野での研究を電子透かしのみで終わらせるのではなく,さらに幅広く学びたいと考えている。特に技術だけではなく法制度も考えた総合的な研究を行いたい。
 私は将来,研究開発部門又は研究分野の取得が必要な職種(専門記者や弁理士)という選択肢を考えている。どちらの道に進むにしても私なりの研究分野を一つ持つ必要があり大学院博士前期課程を自分自身のキャリアアップにつなげたい。
 私が人間コミュニケーション学専攻を志望する動機は,学部での科学技術・メディア・社会をキーワードとした様々な知識体系をさらに深く追求し,人間コミュニケーション学とはどういうものなのかを自分なりに考えていきたいからである。学部生活において励んだ勉学の中でも,メディアリテラシーを代表としたメディア系の授業との出会いは印象深く,加えて人間コミュニケーション学実験などから現在の科学技術の発展が人間の情報取得の多様化につながっていることを学んだ。これは人間コミュニケーション学全体はどんな人にでも関係する身近な学問であることをいっている。リテラシーとそれを支える技術的な面の両方を学べるのは人間コミュニケーション学科だけであることからぜひこの専攻で学びたい。
 私の大学院進学の理由として,「知りたい」と「作りたい」という思いがある。自らが人間コミュニケーション学の一端を担いたい,自分の研究分野を確立したい,自分のキャリアを形成したい,ということだ。それらによって得られるものをうまく吸収し,自己というものを作っていこうと考えている。

研究概要
 人間の視覚特性に基づく色彩情報への電子透かしの研究。
 電子透かしは,人間が知覚できない程度の変更を加えることで情報をコンテンツに埋め込む技術である。例えば埋め込む情報を配布先とするとコンテンツ購入後の不正に対処することができる。私は人間の視覚特性を考慮し,色彩情報のゆがみ,切取りに強い埋め込みを研究中である。