夢しか見れない1

行きは長いのに、帰りは短く感じるのはなぜだろう。そんなことを考えながら塾でボーっとしていたら先生に怒られた。最近、この先生怒りっぽくて嫌だ。たぶん、彼女にでも振られたんだろう。じぃっとしていればかっこいいのに短気なんだよな。
「おい、祥吾、先生さっきなんていった?」
やばい、聞いてなかった。ううう
「祥吾、先生さっきなんていった?って言いました。」
「ばかにしてるのか?それは「今」言ったことばだろ!」
「ごめんなさい」
「じゃあ早く進めて!テキストの57ページ!あ、「数学Iの」テキストの57ページ!」
最近、揚げ足取り過ぎてほんと面白くない。やっぱ塾講師だけに頭いいからなー。けどなんで塾講師なんてしてるんだろう。
「先生、なんで塾講師してるの?先生になるの?」
「いや、ならないよ、割に合わないし。予備校の講師ならやりがいありそうだからなってもいいけど。さ、関係ない話はいいから早く手動かすっ」
「なんで割に合わないの?」
鋭い視線・・・あー仕方がない。やるかー。う〜ん。問1からわからん。けど聞きづらいよなー。というか自分のせいなんだけど。

聞いたら嫌味言うに決まってるし。これも自分のせいなんだけど。
「先生、わかんない。」
「ただ、わかんないじゃ、せんせいもわからない。ココまで読んでわかったけどここの部分からわからないとか、この式でいいはずなのに答えが合わないとか具体的にいいなさい。」
「最初っからわかんない」
「は?今やってる部分って前回宿題にした部分だよ、ということは前回やってるんだよ。4ページ前みてみ。」
「あ・・・(あった。わかった)」
「お前の頭って何に使ってるの?塾なんのために来てるわけ?もう少し頭で考えてみれば?」
ふーこれだから、リケーの先生は疲れる。
あーまだかなー終わるの。
「先生、今何時?」
「7時50分!あと10分で終わりだね。集中してやんな」
「あと10分かー、(やる気でねー)、ねー先生、コンビニ行くときとかさ、行くときは長く感じんのに、帰るときは短いってことない?」
「は?今集中してやれって言っただろ。あとで答えてやっから授業時間くらい頑張んなさい!」
・・・
「で?なに?行くとき長くて帰るとき短い?だっけ?先生もあるよ。何でだろうな。」
「なんか家からコンビニ行くときそう感じるんだよ。なんでなんで?」
「先生にもわかんないよ。なにか奏させる未知の力でもあるのかもね」
「まじで?まじで?見つけたらノーベル賞もらえる?」
「いや、今のは半分冗談だよ。そんな力があったら現在の物理学は崩壊する!」
「それほど、すごい発見なんでしょ?やべーすげーよー」
「そういうこと考えるのもいいけど、宿題ちゃんとやってからにしてくれよ」
・・・帰ろう。帰宅途中、コンビニによった。そしてジャンプを立ち読みしたあと、家に帰ったがいつもどおりの時間に帰ってきていたし(実は毎週月曜の日課だった)、何も変わったところはなかった。ココはやはり文明の利器でも使うかとPCを起動しメールチェ

ックの傍らgoogleで「行きは長いのに、帰りは短く感じる」と検索してみると1件ヒットした。
――
子供の頃は時間が長く
大人になると時間が短く感じる。
大人になるにつれて慣れるから。
子供は学校帰りの時間でも何か発見するから、楽しい。
知らない道でも行きは長いのに、帰りは短く感じる。
それは発見するから。ここにこんな店があって、とか。
――
現在渦中の人であるシマダシンスケが言っていたらしい。
違う。僕がそう思うのはそうじゃないんだ。いつも通るずっと変わらない見慣れた道なのに帰りはなぜか短いんだ。コンビニいって帰ってくる間に子供から大人になるってのかい?いくら僕でもこれはハイハイと鵜呑みにはできないなw
仕方がない。僕の周りで一番頭がいいのは塾の先生だし。今度は金曜か。そのときにまた聞いてみよう。
金曜、やはり、僕は宿題をやってこなかった。やらない理由は必ず説教をうけるので授業時間が減るからだ。僕って頭いいー。けど「こうやって俺がお前に説教たれてる間も時間は過ぎていくんだよなー。あーもったいないなーお前はどんどんまわりからおいていかれるんだろうなー」
にはグサッときた。僕はまだまだというか本当に世の中を何も理解していないのかもしれない。少しやる気を出した。授業後にこの前のことを聞こうと思ってね。周りを見ると、僕は先生から説教話ししか受けていないが他の一件まじめな生徒は授業後先生と雑談

していた。まぁたいてい自分の志望校に在学している先生のところにいって媚売ってるんだけど。たいして頭よくないのにさ。僕にいえる言葉じゃないんですけどね。
授業後、質問があります!といい、googleの検索結果のことを話した。先生は「質問があります!」といわれたとき、感動したそうだ。それだけで頭をなでなで使用かと思ったくらい。けど勉強のこと以外だったのでそれは幻に終わったみたい。
「まぁそれにある程度納得できる回答がほしいだろうから、先生の意見を言ってやるよ。お前、コンビニ行くとき右回りじゃない?そしたら帰るときって左回りだよな?体育のトラックっていつもどっち回りだ?」
「あ、行くとき右回りだ。体育のときは左回りか・・・で、どういうことになるの?」
「お前が調べたシマダシンスケ、今は別件で有名だけれど、まぁそれはおいといて、大人になるにつれて慣れて行くんだろ、お前、小学校からの体育で校庭のトラック何週した?」
「数えたことないからわかんない・・・」
「普通そうだよ。ようはそれだけトラックを走ってるって事だ。しかもみんな左回り。だいたい10年か。10年左回りに走れば左回りのほうが体は慣れているだろうなー」
「ということは僕がコンビニ行くときは右回りだから体がいつもと違うと感じて不自然に思うから?左回りの帰りは慣れている回りからだから短いって事?」
「まぁそういう考えでの意見だな。回答というよりは。」
僕はけっこう納得した。確かにみんな左回りだった。この間友達とスケート行ったときもなんかみんな左回りだった。うわー。これ発見かも。ぜったいこれノーベル賞だよーわおー。